Arbitrum(アービトラム)の基本とは?仕組み・特徴をわかりやすく解説

この記事を読み終わると得られること

  • アービトラムとは?何のために作られたの?
  • ビットコインやイーサリアムとはどう違う?
  • アービトラムはどこで買えてどう保管するのか
免責事項

この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。

Defi投資には元本割れ・為替損失・価格変動・ハッキング・ラグプルなどのリスクがあり、税務上の取り扱いも複雑な場合があります。取引にあたっては、必ずご自身で最新情報や専門家の助言を確認してください。

▼ Arbitrumとは/いつ生まれたか

Arbitrum は Offchain Labs によって開発された Ethereum の Layer-2(L2)スケーリングソリューション です。設立メンバーには Ed Felten、Steven Goldfeder、Harry Kalodner が含まれます。設立は 2018 年頃で、メインネットでの実稼働や利用が進んでいます。

Arbitrum の基本論文 “Arbitrum: Scalable, private smart contracts” (USENIX 2018) で、Ethereum のスマートコントラクトが抱える「スケーラビリティ」「プライバシー」「コスト」「処理速度」の制限を改善する設計が提示されています。

https://www.usenix.org/system/files/conference/usenixsecurity18/sec18-kalodner.pdf

▼ Arbitrumが解決を目指している主な課題とその技術的アプローチ

Arbitrum は Ethereum の L1(メインチェーン)での問題点を改善することを目的に設計されています。以下、その主な課題と、それに対する Arbitrum の解決策を技術面から掘ります。

ガス代・手数料が高くなること / 処理遅延


Ethereum L1 は多数のトランザクションとスマートコントラクトの演算を全ノードで処理せねばならず、混雑時にはガス代が非常に高騰します。 Arbitrum は optimistic rollup(オプティミスティックロールアップ) を採用し、トランザクションをまず L2 上で集めて処理し、まとめて Ethereum にデータ・状態の要約(state root 等)を提出することで手数料を分散させ、コストを下げつつ処理を高速化します。

スケーラビリティ(トランザクション数/秒の制限)


Ethereum L1 は TPS が限られており、混雑やコントラクト実行の重さによって遅延が生じることが多いです。 Arbitrum の設計では、L2 上で多くのトランザクションをオフチェーンで処理し、データをバッチで L1 に上げることによってこの制限を緩和します。利用者は手数料コストを抑えながら、より多く・より速くトランザクションできるようになります。

Ethereum との互換性(開発者体験)


Arbitrum は EVM(Ethereum Virtual Machine)互換を保っており、既存の Ethereum のスマートコントラクトやツール、ライブラリがほぼそのまま動かせることが強みです。これにより開発マイグレーションのコストが低くなります。

セキュリティ/整合性の担保


オフチェーンで処理されるトランザクション結果を L1 に提出する際、誤った結果があれば正しい者がチャレンジできる fraud proof(不正証明)プロトコル によって検証が行われます。つまり、L2 の状態を信頼性のある形で保証しつつ、「誰かが嘘をついたら訂正可能」な構造を持たせています。

様々なニーズへの対応(分散性 vs 利用コスト』のトレードオフ)


Arbitrum は複数のチェーン設計を持っており、完全な rollup(高度な分散性・セキュリティを重視)を提供する “Arbitrum One” や、よりコストを下げたいが若干の信頼前提を許容する “AnyTrust” チェーン(例:Arbitrum Nova)などを構成要素に持ちます。これにより、用途やコスト・セキュリティの優先度に応じて選択できる柔軟性があります。

BoLD プロトコル等によるチャレンジ・遅延攻撃対策


最新の Arbitrum 技術スタックには “BoLD” と呼ばれるチャレンジ (dispute) プロトコルの改良が含まれており、不正な状態主張 (state assertion) に対して複数の悪意あるチャレンジャーからの一斉挑戦 (all-vs-all) を可能とすることで、遅延攻撃 (delay attack) を防止し、確定性の上限時間を保証する設計を持っています。

▼ 他の暗号資産との違い(ビットコイン/イーサリアムとの比較)

以下、技術設計や目的、使われ方の面で Arbitrum とビットコイン・イーサリアムを比較します。

ビットコインとの違い


 ビットコインは主に価値保存 (“digital gold”) と送金・分散通貨として設計されていて、スマートコントラクト機能や汎用アプリケーションプラットフォームとしての機能は非常に限定的です。また、PoW を用いたマイニング方式で発行が制御されており、スループット (TPS) は低く、確定性や遅延が発生しやすいです。

Arbitrum はこれらとは異なり、Ethereum のスマートコントラクト環境を前提に、それをより速く・安価に・スケーラブルに実行できる仕組みを提供する L2 ソリューションです。

イーサリアムとの違い

レベルの違い(L1 vs L2)
Ethereum は Layer-1 チェーンであり、全てのトランザクション・状態が各ノードで検証され、セキュリティ・分散性が非常に高いが、スケーラビリティ・コスト・混雑時の遅延という制約があります。 Arbitrum は Ethereum のセキュリティを “親チェーン (L1)” として利用しつつ、トランザクションの実行や処理を L2 で高速に行い、必要に応じて L1 に結果を提出することで、これら制約を緩和します。

コスト・遅延の軽減
Ethereum の L1 上でのコントラクト実行・ガス代高騰・ネットワーク混雑といった体験上の障壁を、Rollup によるバッチ処理 (batching) と fraud proof-チャレンジ方式により、ユーザーおよび開発者がより低コスト・低遅延で利用できるようにしている点が Arbitrum の強みです。

開発者体験の柔軟性
Arbitrum は EVM 完全互換であり、既存の Solidity コントラクトやツールを大きく変更せずに移植可能です。また、最新スタック (例:Stylus) などでは Rust や C++ のような言語サポートも検討されており、パフォーマンスや使い勝手の幅を広げているという動きがあります。

▼ Arbitrumチェーン上のトランザクションを確認する

https://arbiscan.io

上記のサイトで検索窓の部分にウォレットアドレスを入力するとアクティビティが閲覧できます。Arbitrumチェーン上でトランザクションを刻んだことがない場合は表示されません。

▼ ArbitrumOneはどこで買える?どう保存する?

・BitbankやOKJなどの仮想通貨取引所で板取引できます

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コールドウォレットは仮想通貨をオフライン管理できるもので保管時のハッキングから身を守れます。

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▼ アービトラムまとめ

Arbitrum は、Ethereum が抱えてきた「高い gas 手数料」「ネットワークの混雑による遅延」「使用コスト」「既存コントラクト/dApp の移植性」といった課題を、Layer-2 の設計によって効率的に解決しようとするプロジェクトです。Optimistic Rollup による L2 上での高速処理を基本とし、その状態をまとめて L1 に提出することでセキュリティや分散性を維持しながらも、ユーザー体験の改善を実現しています。

また、EVM 完全互換という点で開発者にとって大きなメリットがあり、既存の Solidity コントラクトやツールをほぼそのまま使えることが移行コストを下げ、大規模なエコシステム参加を促しています。さらに、チャレンジ/不正証明機構 (fraud proof) を含む設計により、不正状態の訂正ができる安全性の補強も行われています。

つまり、Arbitrum は Ethereum の機能性とセキュリティをそのまま受け継ぎつつ、「速度・コスト・スケーラビリティ」を大幅に改善したインフラとしての Layer-2 ソリューションであり、特に DeFi・NFT・スマートコントラクトを多用する用途での適用力が高いと言えます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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