Baseチェーンとは?
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- Baseチェーンとは?
以下のサイトで自分のウォレットがどのくらいBaseチェーンに貢献しているかスコアを確認できます。

▼ Baseとは何か

公式サイト:https://www.base.org
▼ Baseチェーンが解決しようとしている課題

Base公式ブログより:https://blog.base.org/base-2025-mission-vision-and-strategy
・手数料(ガス代)の高騰
Ethereum L1(メインチェーン)では、取引やスマートコントラクトを実行する際、ガス代が高く、ユーザー・開発者双方にとってコスト負荷が大きい。Base は OP Stack の Bedrock リリースを含めた設計で、トランザクションをロールアップしてまとめて処理し、L1 へのコール(calldata)および証明手続きにかかるコストを分散させ、ユーザー負荷を下げることを目指しています。
・スケーラビリティ(処理速度とスループット)
Ethereum L1 は一秒あたりのトランザクション処理能力(TPS)が限られており、ピーク時には遅延や混雑が発生する。Base はオフチェーンで多くの処理を行い、L1 へのデータ提出をバッチ的に行うことで、スループットを向上させ、L1 の混雑を緩和する構造になっています。
・開発者体験(Developer Experience, DX)
多くの Web3/DeFi プロトコルや dApp はツールチェーンやライブラリ、コントラクトの互換性に依存しており、Ethereum のエコシステムで動いているものを他のチェーンに移すコストが大きい。Base は完全な EVM 互換性を持ち、既存の Solidity コントラクトやツールをほぼそのまま使える設計。さらに Coinbase の既存ユーザー基盤・ウォレット・オンラップ入口などのインフラとの連携性も重視されています。
・セキュリティの確保
L2 は「高速かつ安く」という方向へ行きがちですが、セキュリティと Ethereum の分散性を犠牲にしないことが重要。Base は Ethereum L1 のセキュリティを根幹として利用し、rollup 構造(Optimistic Rollup)における不正取引や詐欺をチェックする fraud proof 機構・チャレンジ期間を設けるなどして、信頼性を保ってます。
・インターオペラビリティ(相互運用性)
Base は「孤立したチェーン(アイランド)」ではなく、Ethereum 主チェーンや他の L2、あるいは他の EVM 互換チェーンとの資産の移動やメッセージのやりとりができるように設計されています。これにより、エコシステム全体の連携性が強化され、流動性やユースケースを広げることを目的としています。
▼ 技術的構造と仕組み

以下は Base の構造やモジュール構成など、開発者がチェックしたい技術的ポイントです
技術要素 | 説明 |
---|---|
OP Stack + Bedrock | Base は Optimism の OP Stack を利用しており、Bedrock リリースにより EVM 実行レイヤー、データ可用性/決済層、ガスの構造などモジュール化されていて、将来的に異なるモジュールを差し替えたり拡張することが可能です。 |
オプティミスティックロールアップ(Optimistic Rollup) | トランザクションをオフチェーンで処理し、まとめて Ethereum L1 に投稿。デフォルトで「正しいものと仮定(optimistic)」し、異議申し立てがあった場合のみ検証する fraud challenge が可能。これによって手数料と遅延を抑制。 |
スケジューラー/シーケンサー構造 | Base では Sequencer(取引を受けて順序づけ、L2 ブロックの生成を行う)という役割を持つコンポーネントが存在。ユーザーのトランザクションを迅速に処理し、一定周期でまとめて L1 に state commitment を投稿。 |
手数料構造 | トランザクション実行費用(L2)+ Ethereum の calldata 等を L1 に投稿するコストを分割する構造。取引コストを L1 のまま行う場合に比べて大幅に低減。さらに、将来的にはアカウントアブストラクションを用いて「ガスレス取引」やユーザー体験を改善する API が提供される予定。 |
ネイティブトークン未発行 | Base は独自のネイティブチェーン・トークン(ガバナンストークン)を現在のところ計画しておらず、ガス/手数料は ETH で支払われる設計。これによってトークン設計の複雑さを減らし、既存 Ethereum エコシステムとの整合性を保っている。 |
段階的分散化の方向性 | 立ち上げ時点では Coinbase による sequencer の管理などに中央要素が強いが、将来的にはモジュール化・マルチシグネチャ・コミュニティ参加などを通じて徐々に分散化していくロードマップが示されている。 |
▼ 他チェーンとの比較・トランザクションや利用状況の伸び
Base は新しいネットワークですが、既に以下のような指標で注目を集めています
・取引手数料の低さ

Base 上のトランザクションは、Ethereum L1 と比べて非常に低コスト。フォーブスの記事によれば、Base は “under one second finality”(1秒未満のファイナリティ)を実現し、トランザクション手数料も非常に小さいもの(例えば、0.01ドルクラスなど)を実現しているという報告があります。
私もトークンスワップの経路にはできるだけbaseチェーンを使ってトランザクションコストを下げています。しかも早い。
・TVL とステーブルコイン取引量での急成長

1inch のレポートでは、Base はステーブルコイン取引量で主要なネットワークの中で先頭集団に入りつつあり、Solana や Ethereum、Tron などと比較しても目立つ成長をしているという記述があります。さらに、1inch supports Base network でスワップ数・取引数が急増しており、ユーザーアクティビティが活発。
・NFT の発行・マーケット活動
Base のローンチ期(“Onchain Summer” 等プロモーション期間中)において、Opensea や他のマーケットが Base 上で NFT を発行したり取引したりする動きが増えており、その際の手数料の安さ・操作のスムーズさが利用者に評価されています。
▼ 開発者にとって嬉しいポイント/弱み
・嬉しいポイント
- 既存の Ethereum コントラクト/ツール/ライブラリをほぼそのまま使えるので、マイグレーションコストが低い。
- Gas 手数料が安く、ユーザー UX が改善されるため dApp の普及しやすさが上がる。特に DeFi や NFT、ゲームなど“頻繁なトランザクションが必要なアプリ”で有利。
- Coinbase の巨大ユーザーベースやウォレット/オンランプのインフラを活用できる。つまり、マーケットアクセスが比較的容易。
- モジュール化された設計(OP Stack / Bedrock)により、将来的なアップグレードや機能差し替え、新しいデータ可用性レイヤー等を選択可能。技術的柔軟性が高い。
・注意点/チャレンジ
- 初期段階で sequencer やアップグレード管理などが centralized(中央集権)な部分があり、分散性の観点からの批判がある。完全な decentralization は将来的なロードマップ上の課題。
- ブリッジのセキュリティリスク:L1 ⇄ L2 の資産移動にはコードの安全性や脆弱性が問題となる。ブリッジハックの事例が過去にあるため、監査・モニタリング体制が重要。
- トランザクション数・人気が急速に増えてくると、Network ガスの動的な調整や sequencer の負荷、ユーザー体験の一貫性を保つことが試練となる。
▼ Baseチェーンまとめ
Base は、Ethereum の弱点(手数料・混雑・処理速度)を OP Stack + Optimistic Rollup + EVM 互換性という組み合わせで技術的にアプローチしたモダンな L2 チェーンです。既にトランザクション数・TVL・ステーブルコイン取引量・NFT 活動などで急成長を遂げており、インフラ側として開発者が使いやすい設計が多く盛り込まれています。
「モジュールを差し替えられる設計」「ETH を gas として使う」「ネイティブトークンなしでシンプル」「Coinbase エコシステムの資産 & ユーザー基盤が背後にある」など、プロジェクトの参入コスト・マーケットアクセス・将来性の観点で優位性があります。
最後までお読みいただきありがとうございました。