【コラム】金融マーケットのチャートメイクはオークションの連続という考え方
1. 金融マーケットとオークションの基本的関係
金融マーケット(株式市場、FX市場、暗号資産市場など)は、「売り手」と「買い手」が価格を通じてマッチングする場」です。これは本質的にオークションと同じ構造です。
この「マッチングのメカニズム」がオークションの本質です。マーケットの種類によってオークション形式は変わります。
2. オークション形式の種類と市場の例
- 連続価格競売(Continuous Double Auction, CDA)
- 株式市場やFX市場で主流
- 売買注文がリアルタイムで提示され、価格が刻々と変化
- 例:NYSE、NASDAQ、ビットコインマーケット
- 呼値オークション(Call Auction)
- 事前に注文を集め、一定時間ごとにまとめて約定価格を決定
- 例:日経平均先物のオープンやクローズ時
- メリット:薄い市場でも公平な価格形成が可能
- その他特殊形式
- 英語式オークション:価格を段階的に上げて落札者を決定
- オランダ式オークション:価格を下げて最初の応札者が落札
- 一部のIPOや暗号資産トークンセールで使われる
3. オークション視点で見るマーケットの特徴
- 価格は相対的・暫定的
- 現在の板の価格(Bid/Ask)は「すぐに変わる可能性がある暫定的な均衡価格」
- 完全な「公正価格」は存在せず、買い手と売り手の需給に応じて流動的に変化
- 流動性とスプレッド
- 板が厚い(注文量が多い)ほど、価格は安定
- 板が薄いと、少量の注文でも価格が大きく動く
- オークション形式を知ると、なぜ「薄い銘柄は値動きが激しいか」が理解できる
- マーケットインパクト
- 大口注文を出すと、価格が変動する
- これもオークションの性質で、「一方的に大きな注文が入ると最適価格で約定しにくい」
基本的にマーケット内のポジションは買いか売りかしかおらず、約定は常に自分の注文とは反対の注文があるのでその比は1対1です。
たまにロングが多いから、ショートが多いからとか言ってる人がいますが本質的には間違っています。よくあるインジケーターであるロングショート比率は、その価格帯では保有しているポジションが偏っていることを表しているだけで、全体のポジションは買いと売りで1:1です。
この比率のゆがみなど、あらゆる指標のゆがみをとらえて、よさげなものを探しポジションの出口を探す・考察することがポジションの最大利益を追求できる本質的な鍛錬法だと考えてますが、難しいです。
4. オークション理論と価格形成
オークション理論では、参加者が合理的に行動する場合の均衡価格(Nash均衡)を考えます。
金融マーケットに応用すると:
結果的に「市場価格は、参加者全員の期待値と情報が織り込まれた瞬間的オークションの結果」と言える。
金融に関する有識者がたびたび、人間はBOTに勝てないといっているのをよく見かけます。BOTは人間と違い数ミリ秒の世界に存在していているため、ポジション保有が短くなればなるほど情報の仕入れから判断までの時間で人が負けるのも当然のことと理解できます。
5. フットプリント・板・オークションの関係
現代のトレーディングでは、単に価格を見るだけでなく、「どの価格帯でどれだけの売買が成立したか」を観察します。これはオークションの「結果」を可視化しているとも言えます。
オークション視点で見ると、「価格変動は単なるランダムウォークではなく、オークションでの需給バランスの反映」と理解できる
6. まとめ
マーケットがオークションの連続である考えを取り込むと、マーケットの勉強とトレードの振り返りがかなり楽になります。FOMCで利下げだから株価が上になるとかそんな単純な話でトレードの成績が良くならないのは、需給を考える勉強ができていないからではないのではないかと考えるようになりました。
実際、まだまだアマチュアですが保有中の含み損の資金に対するドローダウンやポジションを持つ期間、再構築を考えるべき判断の精度が上がった気がしています。
執筆している私自身は20代前半でまだまだ勉強途中なのでいいなと思ったことがあればまたシェアします。最後までお読みいただきありがとうございました。